ネット社会を生きる中学生・高校生は、中傷や炎上などのリスクにさらされています。SNSや掲示板で事実無根の誹謗中傷をされたり、個人情報を暴露されたり、画像を勝手に公開されてそれが拡散してしまったり、何が起こるか分かりません。ネットに書かれた内容は、スマホやパソコンで名前を検索したときに、上位に出てきてしまう恐れがあります。そのような事態が起きたら、グーグル(Google)やヤフー(Yahoo)などの検索順位を下げる逆SEO対策を行うという方法があります。

いじめや復讐

中学生や高校生のネットの誹謗中傷の被害にはいろいろなパターンがあります。

まず、いじめの目的で悪口を書かれることがあります。 また、知らないところで人に恨みを買ったり、妬まれたりして、その仕返しとして中傷されることもあります。

勝手に画像を公開

あるいは、悪意がなくても、深く考えずに勝手に友人の個人的なことを書いたり、画像を晒したりしてしまう人もいます。 いずれにせよ、ネット上で何が起こるかわかりません。

レピュテーション

ネット時代を生きる私たちが直面するこのような被害やトラブルの危険性を「レピュテーション・リスク」といいます。レピュテーションとは「評判」という意味です。

こうしたレピュテーションリスクを減らし、対策をとることを「レピュテーション・マネジメント」といいます。あるいは、単に誹謗中傷対策や風評被害対策とも呼ばれます。

避けられない共有の空間

インターネットという空間は、道路や公園と同じで、世界中のみんなが使う空間です。 いわば「空気」と同じようなものです。

そして、だれしもが生涯付き合っていかなければいけません。 自分がいくらネットを嫌っていても、社会生活を営むうえで避けて通れない存在です。

検索が入り口

誹謗中傷や炎上・拡散の被害が発生するサイトは、Facebook、インスタグラム、TwitterなどのSNSのほか、2chやYahoo知恵袋など様々です。

しかし、いずれにせよ、被害の発生や拡大のきっかけになるのは、たいてい「検索サイト」です。すなわち、主にGoogleとYahooです。

名前検索

人々がネットから情報を得るとき、大半は検索を経由します。このため、名前で検索したときに、上位に中傷サイトが出てしまうと、被害が一気に重くなります。

逆にいえば、検索の上位に表示されなければ、見る人はほとんどいなくなります。風評被害も極めて軽微なものになるでしょう。

「名前汚染」とは

検索の1ページは名刺

現代社会において、ネットの「名前検索」の1ページ目は、名刺みたいなものです。

Googleでプロフィールを確認

ひと昔前は社会人の大半が、紙の名刺をつくり、配っていました。しかし、ネットの普及に伴って、名刺を刷る人はどんどん減っています。メールやSNSで情報をやり取りするので、紙で名前や連絡先を渡してもあまり意味がないからです。

とはいえ、メールやSNSだと、その人の基本的なことしかわかりません。そこで、大抵の場合は、名前でGoogle検索をすることになります。名前検索をすれば、その人の現在の職場だけでなく、プロフィールや過去がわかります。

嫌な過去や恥ずかしい写真

ネット上に情報が何もない人もいるでしょう。それはそれで特に問題は起きません。結構なことだといえます。

しかし、検索したらいきなり悪口が出てきたらどうでしょう。検索のトップのページに嫌な過去が書かれたり、恥ずかしい写真が出てきてしまったらどうでしょう。大きなイメージダウンになります。まさにレピュテーションの悪化につながります。

削除できない

見られると困るようなページや画像、動画は削除すれば済むことです。しかし、現実には削除できないことが多々あります。

珍しい名前の人は要注意

同姓同名が少ないと・・・

珍しい名前の人は、ネットの検索汚染の被害にあいやすいです。同姓同名の人が少なければ少ないほど、誹謗中傷されたときに目立ちやすいです。

完全一致の情報がないとき

同じ名前がネット上に全くないと、似たような名前の人の情報がかわりに上位に来ることになります。あるいは、姓名判断サイトや占いサイトのページが上位表示される場合が多いです。

リスキーな状態

しかし、自分の名前で完全にマッチするページがないということは、ある意味でたいへんリスキーな状況だといえます。何らかのネガティブな情報が自分の実名入りでネットに上がったときに、それが一挙に検索順位の上位を独占する恐れがあるからです。

子供の命名と誹謗中傷対策

以上のことは、大人が子供の命名をする際にもぜひ抑えておきたいポイントです。珍しい名前の人のほうが、誹謗中傷の被害は重くなりがちだということです。

キラキラネームのリスク

いわゆるユニークで個性的なお名前(キラキラネーム的なお名前)のお子さまは、誹謗中傷されたときに簡単に名前検索で上位になってしまうため、打撃が大きくなる傾向が高いというのが実態です。

著名人と同姓同名

逆に、とても一般的な名前だと、すでに検索上位が固められているため、名前だけの検索では上位に表示されにくいです。また、タレントなど著名人と同姓同名だと、その著名人の名前が上位を占めているため、誹謗中傷を書かれても名前検索でヒットしにくくなります。

逆SEO

中学生や高校生がレピュテーション・リスクに備える方法として、逆SEOというのがあります。逆SEOとは、名前で検索したときに、ネガティブなサイトが上位に表示されないようにする対策です。

自分の名前を守る

逆SEOはいわば自分の名前を守る手段です。レピュテーション・マネジメントの基本です。企業であっても個人であっても、やっておきたい取り組みです。

昔は名前が汚れることがなかった

昔の人は、広く公の場で名前が汚れることはありませんでした。学校の校舎のトイレなどに悪質な落書きを書かれたり、といった被害にあうことはあったでしょう。それはそれでたいへん深刻なことであり、落書きを消すのはもちろん、犯人を突き止めて厳しく指導する必要はあるでしょう。

落書きが検索によって晒(さら)される

しかし、校舎のトイレはネットに比べると閲覧する人数が限られています。ネット上の落書きは誰にでも見られてしまいます。 どうやってみられるのかというと、それは、検索という手段によってです。検索にひっかからなければ、閲覧されることはほとんどありません。

検索は諸悪の根源

そう考えると、検索というものは便利である一方で、デマや中傷を拡散させる諸悪の根源のような側面を持っていると言えます。

ネガティブ情報が上位になりやすい

Googleなどの検索エンジンの問題点として、ネガティブな情報が上位にいきやすい点があげられます。

スキャンダルや不祥事

ネガティブな情報やスキャンダル、不祥事は、人々の関心を引き寄せやすいです。ネガティブな内容のページが拡散したり、多く検索されたり、クリックされたり、リンクを貼られたりすることで、検索順位が上昇してしまいます。

とりわけ、炎上するような事件があると、特定の個人に対するバッシングが一斉に拡散し、検索の1ページ目や2ページ目が埋め尽くされることが多いです。

ポジティブ・フィルター

Googleにおいては、もう少しポジティブな情報が上にいくように、ポジティブ・フィルターをある程度かけてもらいたいものです。そうしないと、人の悪口や批判ばかりが跋扈する世の中になる恐れがあります。

バランスのとれた検索結果を目指す

逆SEOでは、その人に対する賛否両論があるならば、しっかりと「賛」と「否」を検索結果に載せるような取り組みも必要になります。凶悪な犯罪者や極悪人ならまだしも、通常の市民生活を送ってきた人なら、一つの過ちを犯したからといって、それまでの人生が全て過ちだったということはないでしょう。

未成年の将来に悪影響

中学生や高校生などの未成年であればなおさらです。これから社会人となり、長い将来の中で素晴らしい活躍をする可能性をみんなが持っているはずです。にもかかわらず、10代や未成年の若い段階で検索結果が真っ黒になってしまうような状態は、いかがなものなのでしょうか。Googleさんには社会の公器として、この点にもついてもよく考えてもらいたいものです。

とはいえ、Googleの検索アルゴリズムが改善されるのを待っているわけにはいきません。名前検索の汚染には、逆SEOで対抗せざるをえない面があるのが今の現実です。

いずれにせよ、逆SEOには、ネガティブ情報に偏りがちな検索結果を是正し、よりバランスのとれた状態に持っていくという役割がある、ということです。

中学生、高校生のSNS利用

中学生や高校生はSNSを使うときに、なるべく情報や画像を「一般に公開しない」という設定にすることが望ましいといえます。

自分の写真はアップしない

レピュテーション・リスクの観点からいえば、学生の間は、なるべく自分の写真をネットにアップしないほうが得策だといえます。とりわけ顔写真は控えたほうが無難です。

写真を公開することについて、今の時点では問題なくても、あとで不都合が生じる場合があります。

大人になって、就職して社会人生活を送っていると、「自分の写真がネットに出回っているのは恥ずかしい」と考える人が多いです。

しかし、いったん広まってしまった画像を削除するのが難しい場合もあります。若き少年少女時代の自分の行動を後悔することになります。

アカウント情報(メールアドレス、ID、パスワード)を忘れない!

学生のレピュテーション被害でよくあるのは、SNSのアカウントを作ったときに登録アドレスやパスワードを忘れることです。

とくに多いのが、Twitterのメールアドレスを喪失し、自分のアカウントを削除できなくなる事態です。

Twitterから自分の名前や写真を消したいのに、削除できず、いつまでも放置された状態になります。

こういう状況になったとき、Twitterは削除に非協力的です。

登録したときのメールアドレスとパスワードは決してなくさないようにしましょう。

逆SEOの問い合わせ



関連ニュース

2008年4月

学校裏サイトで教師を中傷する表現 全市立中学145校、市教委聞き取り

横浜市教育委員会が、市立中学校の生徒たちによる携帯電話のトラブルなどについて調べた結果を公表した。服装や喫煙などについて注意した教諭を、生徒が携帯電話の掲示板上で「死ねばいい」などと誹謗(ひぼう)・中傷している実態などが明らかになり、市教委は「行き過ぎた行為については県警とも相談して対応したい」としている。

調査は2月、横浜市内の全市立中学145校の生徒指導教諭を対象に、聞き取りで行われた。

学校が把握している携帯電話のトラブルに関する質問では、掲示板への誹謗・中傷などの書き込みと、メールによる人間関係のトラブルとの回答がそれぞれ約90%だった。なりすましメールは53%、個人情報の流出・悪用と答えた学校が33%あった。出会い系サイトが要因とみられる性犯罪の被害を把握している学校もあったという。

さらにこの調査をする過程で、「学校裏サイト」などインターネット上の掲示板の管理者に、悪質な書き込みの削除依頼をした教諭が、逆に生徒から「○○がネットをかぎまわって削除をしているらしい」と書き込みをされた例があった。「○○」は教諭の実名ではなかったが、特定できる表現だったという。

横浜市教委によると、同市中区にある6中学校では学校に1人いる生徒指導教諭のほとんどが、ネット上で「ウザイ」「むかつく」といった書き込みをされていた。中には「死ねばいい」といった表現もあったという。

市教委のこれまでの調査で、市内の中学生の約8割が携帯電話を持っている。学校のパソコンはアクセス制限をしているため、中学生たちは携帯電話でインターネットを利用しているという。

市教委児童・生徒指導担当の斎藤宗明課長は「学校現場での携帯電話のトラブルの把握が目的だったが、先生が中傷のターゲットとなっているなどトラブルは想像以上に大きかった」と話した。

市教委は、携帯電話やインターネットの危険性、使い方についての資料を生徒や保護者に配布しており、「携帯電話を買い与えている保護者もその使い方を話し合うことが、子どもをトラブルから守る手立てになる」としている。市教委は、生徒指導教諭を集めた協議会で、被害状況について再度、アンケートをする予定だ。

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